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飾り2.妖精さんの、ふしぎなしょうてんがい。 


クスノキの里を出て、何時間ぐらいたったのでしょうか。
がたごと揺れながら移動するトラックの中、腰や首が痛くなりながらも粘りに粘って眠っていたわたしです。
そろそろ起きるか・・・・・・と思って目を開けた時には、太陽ははっきりと空に出ていました。

「あとどれぐらいで村に着きますか?」

「1時間半ぐらいかなぁ」

長い時間運転手をしてもらっているこのおじさんは、祖父の旧友です。
祖父と違って、大らかで温かく、今回のボランティアを頼んできたお方でもあります。

「すまないね。こんな長旅に付き合わせてしまって。向こうに着いたら、最初にお茶をご馳走するよ」

「いえいえそんな、おかまいなく」

とりあえず断っておきます。
気分転換に空気の入れ替えと思い、くるくるとゼンマイを巻くように手動で窓を開けました。
そうして改めて外の景色を見ると、建物らしき物は一切建っておらず、草原となっていました。
小さな野の花がちらほらと見えます。
あら可愛い。
そんな草花をふんわり揺らす風が吹きました。
その風はわたしの顔にもそっと触れます。
ぽかぽかとした太陽(お日様と言い換えた方が妥当かもしれません)が、わたしの視界をじわりと鈍らせます。
よくあるパターン。
気持ちの良い天候に、わたしは二度寝をしてしまいました。


そして、またしても突然起こされます。

「雨……? ですか」

ぽつぽつと雨が降ってきました。
気づくと空は暗雲で暗くなっています。
先ほどの天気はどこにいったのでしょうか。
わたしは上体を起こすと、窓を閉めました。
そこでようやく目がぱっちりとなり眠気を感じなくなります。

「お疲れ様。着いたよ」

おじさんの一言で、わたしは前方をじっと見つめます。
すると、門のような入口が見えてきました。
近づくにつれ、門の高さがどんどん大きくなっていきます。

「やっと着いた……」

持参した傘を広げてトラックを下ります。
数日ぶりに二本足で立ったような錯覚に陥りました。
もうわたし疲れてる。
早く帰りたい。
そんな思いを胸に、重い足を引きずって村の門に近づきます。

「ようこそ我らの村へ」

そこには雨にも関わらず、たくさんの(といっても数えきれるほどの人口ですが)村人たちが傘を広げて立っていました。
期待の眼差しを向けているようにも見えます。
わたしに何をさせる気でしょうか。
おじさんの後に付いて、わたしも村へ入っていきます。
なぜか村人もぞろぞろとわたしの後に付いてきました。
なんかちょっとこわい。
里に戻って村のイメージはどうだったかと言われたら、わたしはきっとこう答えます。

廃墟。

雨が降ってて、周りが暗いからそう見えるんでしょうか。
村に住んでいる家族分の小さな民家が建っていますが、壁にはヒビ割れや鳥の糞のようなものが目立ちました。
通路となる部分は統一感がなく、砂や石ころによる砂利道だったり、赤っぽい砂だったり、石畳だったり。
水はけが悪いところには、大きな水たまりが溜まっています。
錆びたボロボロの農具が倒れてあり、物置小屋の周りには草が覆っています。
家畜は放し飼い。
あちこちに泥の足跡が見えました。
なんというかもう、何かいそうな気配を感じる村です。

「あのー、まずわたしは何をすればいいですか?」

「この村が存亡の危機にあるのは、実際に見て分かって頂けたかと思います」

「え、ええ、それで?」

「この村を救ってほしいのです!!」

「す、救うというのは?」

完全に来る場所を間違えました。

「話をすれば長くなるんですが」

「手短にお願いします」

そこで知ったおじさんの手短な話によると、遠く独立した村であるために、人が全く来ないので商売が衰退し、村の経営が危うい、ということらしいです。
それはそうでしょう。
こんなに遠く離れた村に、わざわざ足を運ぼうと思う人は少ないはずです。
遠くても行きたいと思わせる物があるのならまた別だと思いますが、平凡なこの村に、これといった物は見えませんでした。
そもそも、今までにどれほどの人が来たのでしょうか。
気になりますが、あえて聞かないでおきます。

「この村に人を集めて、村が賑わう景色をこの目で見たい!!どうか調停官のあなたに、村活性化のアイデアと力を分けて欲しい!!」

すると後ろに付いてきていた村人たちが、思い思いの言葉を一斉に発声しだしました。

「お客さんを集めたい!」

「どうしたら人が来る?」

「この村を助けて!」

「活気あふれる村にするの!!」

どっと押し寄せてくる村人たち。
調停官とは簡単に言えば、妖精さんと人間の間を取り持つ仕事です。
それをこの人たちは、ボランティアを専門とした頭のいい連中が調停官と思っておられる。
そしてそれを正しく訂正できなかった祖父が旧友のお願いを断れず、安眠をとっていたわたしに振ったのでしょう。

「祖父よ、なんてことを……」

これにてわたしの中の1泊2日計画は幕を閉じました。











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飾り妖精さんの、ふしぎなしょうてんがい。

「シマノオカシ村に出張だ。早く行ってこい」

「何を言っているのか、理解に苦しみます」

寒い季節。
深夜なのか早朝なのか区別のつきにくい時間帯、突然わたしの祖父がわたしの安眠を妨害し、とんでもないことを言い出しました。
シマノオカシ村、旧人類である人間の数が30人弱で成り立っているとても小さな村です。
その場所は、今わたしが祖父と助手さんと暮らしているクスノキの里から遠くにあります。
4輪車で半日はかかる距離でしょうか。
とても遠く、気まで遠くなります。

「それはわたし一人で行くんでしょうか?」

「そうに決まってるだろう。トイレに行くわけじゃないんだぞ」

「移動手段は?」

「貨物トラックとかだろうな」

「この里にはそれしか乗り物はないんですか」

なんてこと。
出張だなんて。
ばかげています。

「ところで、何をしにわざわざわたしはそこまで行かないといけないんですか?」

「ボランティアだ」

酷く衝撃を受ける言葉でした。
その言葉はわたしの性格には向かないものです。
無償で体力を費やす活動。

「わたしがボランティアをするほどの体力があるとお思いですか?」

「ない。だが命令だ。今すぐここを発(た)て」

無理やりベッドから離されます。
安眠の続きは移動中にすることにして、しぶしぶわたしは出張の支度を始めました。


「おじいさん、ボランティアはすぐ終わる内容ですよね?」

「……わからん」

「えっ」

どのようなボランティアをさせられるのか、わたしはとても不安になりました。
それと同時に、さらにベッドへ戻りたい欲が強くなります。

「お腹が空いていては、移動中死んでしまうかもしれません。ですから朝食をとる時間まで、ゆっくり過ごし」

「ほら」

「へ」

渡されたのは茶色い包装紙に包まれた何かでした。
わたしは気になって紙の隙間から中を覗きこみます。
サンドイッチでした。
手作りのサンドイッチです。
レタスにチーズにハム。
ありきたりなものでしたが、それによってわたしの心が少し温まったように思えました。
そして包装紙に包まれたサンドイッチと一緒に、一枚の小さな紙がはさんであります。
とても可愛いらしい、犬の絵が描いてありました。

「この手紙は、助手さんですか?」

「うむ」

余計にこの里から出たくなくなります。

「行きのトラックが待ってる。早く行って、早く帰ってこい」

素直じゃない祖父からの、遠回しに気遣うわたしへの言葉に聞こえました。
そしてそれを感じたばっかりに、わたしは逃げづらくなったのです。

「……はい、行ってきます」

すやすやと眠っている助手さんを一目見て、わたしはトラックでクスキノの里を発ちました。
透き通った空気。空が黒く、ちりぢりとした星たちの光が際立って見えます。
村の周りには人一人住んでいないシマノオカシ村で、一体わたしは何をするのでしょうか。
めんどくさいこと以外でお願いしたいところです。
そう祈ってわたしは、また夢の中へ戻っていきました。






おんぷの雫
おんぷの大事で大切な人、
大事に大切にします。




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